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としょかんものしりはかせ

ものしりはかせ

このコーナーでは 図書館のしくみを すこしずつしょうかいするよ!
みんなも 図書館ものしりはかせをめざそう!

今回のものしりはかせは、

『翻訳(ほんやく)』
2010年1月

こんにちは!
みなさんは本を読むときに、表紙に「作(さく)」「絵(え)」「文(ぶん)」 「訳(やく)」という文字が書いてあることはしっていますか?
そのなかで今回は「訳(やく)」について調べてみましょう。

訳(やく)すなわち「翻訳(ほんやく)」のこと。

では、「翻訳(ほんやく)」とは?

翻訳(ほんやく)
ある国のことばや文を、ほかの国のことばや文に直すこと。
〔例解学習国語辞典 小学館〕

翻訳(ほんやく)をおこなう人を翻訳者(ほんやくしゃ)、翻訳家(ほんやくか)といいます。

そしてある国のことばで書かれた文章(ぶんしょう)を翻訳(ほんやく)するときは、その国のことばを *母国語(ぼこくご)とする人たちの文化を理解(りかい)して、 もとの文章(ぶんしょう)があらわしている微妙(びみょう)な意味や調子をこわさないようにする 必要(ひつよう)があるのです。

そのため翻訳者(ほんやくしゃ)は、機械的(きかいてき)にことばをなおすだけではなく、その国の歴史(れきし)や文化(ぶんか)についての知識(ちしき)や 表現力(ひょうげんりょく)が求められます。

*母国語(ぼこくご)
自分(じぶん)が生まれた土地のことば。
初めに覚え、もっとも自由に使えることば。
〔例解小学国語辞典 三省堂〕
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次のふたつをくらべてみると・・・

まる1 まる2
たのしい川べ 川べにそよ風

まる1
THE WIND IN WILLOWS
たのしい川べ

作:ケネス・グレーアム
訳:石井 桃子
出版社:岩波書店

まる2
THE WIND IN WILLOWS
川べにそよ風

作:ケネス・グレーアム
訳:岡本 浜江
出版社:講談社

わかるかな?

英文(えいぶん)では同じタイトルなのに、訳(やく)されたタイトルがちがいます。

翻訳者(ほんやくしゃ)が、この物語を読んで感じた印象(いんしょう)と物語の背景(はいけい)、もとのことばのタイトルから考えて訳(やく)したことばが少しずつちがっているのです。

そのまま訳(やく)すと『柳(やなぎ)にふく風』というタイトルになります。

まる1は、タイトルをそのまま訳(やく)さずに、本文からうけた印象(いんしょう)をあらわしています。?まる2は、やなぎにふく風はどんな風だろうか?ということを日本語の表現(ひょうげん)でわかりやすくタイトルにあらわしています。

それからもうひとつ

まる3
たのしい川べ

まる3
THE WIND IN WILLOWS
川べのゆかいな仲間たち

原作:ケネス・グレーアム
絵:鈴木 まもる
文:鈴木 悦男
出版社:講談社

これも同じタイトルの本だけど、原作の次に訳(やく)ではなく文(ぶん)とあります。

これは、もとになっている本が翻訳者(ほんやくしゃ)によって翻訳(ほんやく)され、読みやすいように文章をまとめて書いた人のことをあらわしています。

この本の場合は、大人(おとな)用に訳(やく)されたものを子どもに読みやすいように文章をなおしたものです。ちょっとむずかしいけど、この方法は「和文和訳(わぶんわやく)」とよばれることがあります。


翻訳者(ほんやくしゃ)は、それぞれの国のことばや文をつくるきまりごとがちがうということをきちんとわかっていなければなりません。訳(やく)す国のことばをながれにそって、そのまま訳(やく)そうとすれば、日本語(にほんご)のながれに無理(むり)がでてきます。無理(むり)に訳(やく)されたものは、とっても読みにくい文章(ぶんしょう)になってしまいます。

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ここで小さな翻訳(ほんやく)をしてみましょう。

もとになる文章に英語(えいご)で

“Ⅰ’m hungry.(アイム ハングリィ)” と書いてあります。

英語(えいご)の場合は、おとなが言っても、こどもが言っても同じです。

そのまま訳(やく)してみると…

「わたしは、おなかがすいています。」 となります。


では、このことばを『5さいの男の子』が言ったことばとして書かれていたら、どのように訳(やく)しますか。

「ぼく おなかすいた」 「おなかすいちゃったよ」 といった感じになるのでしょうか。


では、おとうさんやおかあさんだったら?

おとうさんだったら ・・・ 「腹(はら)へった」
「ごはん まだかな」
←これは上級編(じょうきゅうへん)
おかあさんだったら ・・・ 「おなかすいたわね」

こんな感じでしょうか。


同じことを言っているんだけれど、日本語の表現のしかたはいろいろあります。


翻訳(ほんやく)するときは、もとになる文章の中でどんな人物が、どのように設定(せってい)がされているのか、この場面はどのような状況(じょうきょう)なのかによって、ずいぶん違ってきてしまうことがわかりますね。


翻訳(ほんやく)された本は図書館にたくさんおいてあります。

こども図書室の「がいこくのよみもの」コーナーは、原作のかかれた国によって本を分類しています。


みんなのよく知っている「不思議の国のアリス」を、中央図書館のこども図書室においてある本の中で、「フシギノクニノアリス」「児童書」というふたつの語句を使って、図書館の検索機(けんさくき)でさがしてみました。

すると、同じタイトルで翻訳者(ほんやくしゃ)が16人いました。最初にこの本を訳(やく)した人から数えたら、きっとすごい数の人が翻訳(ほんやく)をしていることでしょう。


ほかにも「小公女」「十五少年漂流記」「グリム童話」「イソップ童話」「アンデルセン童話」など、昔から読みつがれている外国の児童文学は、たくさんの翻訳者(ほんやくしゃ)がその時代にあわせて翻訳(ほんやく)しています。 同じタイトルの本でも、少しずつちがった表現(ひょうげん)になっていたりするので、読みくらべてみるのも良いですね。

○グリム童話 「シンデレラ」「ヘンゼルとグレーテル」「しらゆきひめ」
「ブレーメンのおんがくたい」「おおかみと7ひきのこやぎ」など
○イソップ童話 「うさぎとかめ」「ありときりぎりす」
「きたかぜとたいよう」「ライオンとねずみ」など
○アンデルセン童話 「みにくいあひるのこ」「マッチうりの少女」
「にんぎょひめ」「はだかのおうさま」など

そして、外国語を勉強しているみなさんへ

外国語で書かれた本を読んでみて翻訳(ほんやく)にチャレンジしてみてはいかがですか。


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