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としょかんものしりはかせ

ものしりはかせ

このコーナーでは 図書館のしくみを すこしずつしょうかいするよ!
みんなも 図書館ものしりはかせをめざそう!

さあさあ、よってらっしゃい! みてらっしゃい!
「紙芝居」のひみつの、はじまり、はじまり~

かみしばい

今回のものしりはかせは、

「紙芝居のひみつ」をさぐってみます。

クレヨン 1. 【紙芝居のはじまり】


 紙芝居は日本で生まれたものだって、知っていますか。
 むか~しむかし、江戸時代の江戸の町で、飴(あめ)屋さんが「写し絵(うつしえ)」(絵を光でうつし出しておもしろい話をするもの)でお客さんを集めていました。
 明治(めいじ)時代になって、ある落語家さんが、紙の人形を動かしながら物語をすすめる「立ち絵」をはじめたら、これが子どもたちに大人気! それから、絵本をもとにした絵物語を作るようになっていきます。
 そして1930年、東京のまちで、駄菓子(だがし)を買った子どもを、迫力(はくりょく)のある手書きの絵と劇(げき)のようなかたりで楽しませる“街頭(がいとう)紙芝居”が生まれました。



クレヨン

クレヨン 2. 【紙芝居の広がりと悲しいできごと】


―紙芝居はわるいもの?―
 1930年代の街頭紙芝居が一番はやっていたころ、東京には街頭紙芝居屋さんは約2000~3000人いて、一日に約100万人の子どもを集めていたと言われています。けれども、やがて、駄菓子の売り上げをふやすためにこわすぎるなどやりすぎのものや、急いで作った手ぬきのものも出てきて、紙芝居は子どもたちによくない、という声もあがりました。
 同時に、紙芝居のおもしろさをつかって子どもたちに生活や教科を教える、教育(きょういく)紙芝居も生まれました。やがてそれらは印刷(いんさつ)で作られるようになり、同じ紙芝居がたくさん作られるようになったので、東京ではじまった紙芝居は、日本国中に広まっていったのです。


―紙芝居と戦争―
 1937年、日本と中国との戦争(せんそう)がはじまると、日本の政府(せいふ)の考えで戦争に協力(きょうりょく)する気持ちになるようにするための紙芝居が作られるようになり、大人にも子どもにも、学校でも地いきでも、さかんに上演(じょうえん)されました。新聞社も戦争に協力的なニュース紙芝居を作りました。戦争一色になっていた世の中では人々も戦争の物語をよろこんで楽しみ、街頭紙芝居でも人気がありました。紙芝居は戦争をすすめる道具にもなったのです。
 アメリカ軍が日本に爆弾(ばくだん)を落とすようになると、東京では子どもたちが学校ごとに地方の町に避難(ひなん)する集団学童疎開(しゅうだんがくどうそかい)が行われるようになりました。駄菓子を買って紙芝居を楽しむ子どもたちがいなくなり、街頭紙芝居は消えていきました。
 1945年、日本がアメリカとの戦争に負けると、街頭紙芝居・印刷紙芝居も、たくさんやきすてられました。



クレヨン

クレヨン 3. 【戦後の紙芝居】


 街頭紙芝居は、子どもたちの楽しみとして、帰ってきました。印刷紙芝居は道徳をおしえる保育紙芝居を中心に出版を再開しました。
 やがて、らんぼうな言葉遣いをまねしたり、駄菓子(だがし)を買った人だけが楽しめる紙芝居を見たくておこづかいを使いすぎたり、子どもの生活に大きく影響(えいきょう)することが問題になり、街頭紙芝居は多くの批判(ひはん)を受けるようになりました。1953年にはテレビ放送が開始され、また、勉強やスポーツに時間をとられるようになり、しだいに街頭紙芝居には子どもが集まらなくなりました。



クレヨン

クレヨン 4. 【紙芝居のいま】


 街頭紙芝居屋さんは、一度はすっかりいなくなりましたが、その後、紙芝居の面白さやわかりやすさが見直されるにつれ、ふたたび日本各地で活動する人がふえています。
 印刷紙芝居は、しかけのある紙芝居、写真の紙芝居、防災(ぼうさい)教育の紙芝居など、様々なものが現在もたくさん作られ、保育園、幼稚園(ようちえん)、学校や家庭、また、おはなし会で、多くの人を楽しませています。
 1990年代ころからは、海外でも知られるようになってきました。戦争・紛争(ふんそう)地の子どもたちにお話しを届ける活動でも活やくし、2012年には「ヨーロッパ紙芝居会議(かいぎ)―平和のために紙芝居を」がフランスのパリにあるユネスコホールで開かれました。



クレヨン

クレヨン 5. 【こんな紙芝居、あります!】


 江戸川区立図書館には、印刷紙芝居のはじまりのころに活躍(かつやく)した、高橋五山(たかはしござん)、堀尾青史(ほりおせいし)、稲庭桂子(いなにわけいこ)、川崎大治(かわさきだいじ)などが作った紙芝居もあります。手塚治虫(てづかおさむ)の『鉄腕(てつわん)アトム』、中沢啓司『はだしのゲン』、高畑勲(たかはたいさお)・宮崎駿(みやざきはやお)のアニメ映画『パンダコパンダ』などマンガやアニメから紙芝居になったもの、かこさとしやせなけいこなど、長年活躍する絵本作家が1970年代に作った紙芝居などもあります。

アトム

パンダコパンダ


 街頭紙芝居の本物が保存(ほぞん)されている図書館もあります。近いところでは、江東区立深川(こうとうくりつふかがわ)図書館。8タイトルを保存し、その複製(ふくせい)を見ることができます。



クレヨン

クレヨン 6. 【紙芝居をえんじてみようよ】


 家族や友だちの前で、また、学校やサークルのお楽しみ会やたんじょう会などで、紙芝居をえんじてみませんか。まずは“すきだなぁ”と感じるお話・絵の紙芝居をえらびましょう。

≪演じるポイント≫
●大事なことはこのふたつ。 *かがみの前でやってみて、たしかめてみましょう。
 > 絵が、見ている人によく見えるように、しっかり持つ。
 > 言葉がよく聞きとれるよう、はっきり読む。

このふたつが出来れば、見ている人にその紙芝居をおとどけできます。

●もっと紙芝居を楽しむには、
 > 絵を引きぬくはやさやタイミングをくふうする。
 > 登場人物がどんな人か想像(そうぞう)をふくらませて、どんな声・話し方
   なのかをイメージし、読み方を変えてみる。
 > 紙芝居のうらにかくれないで、見ている人に、読んでいるようすを見せる。

●もっともっと楽しむには、
 > 紙芝居はもともと絵を使った劇(げき)なので、思い切って声や身ぶり手ぶり
   をたくさん使ってもりあげる。
 > ダンボールなどで工作して、自分だけのすてきな枠(わく)を作る。
   (図書館でも数は多くはありませんが、枠のかしだしはしています。
    しかし、「自分の枠」を手作りして持っていると、気持ちも落ち着きます。
    作るのも楽しいし、いつでも使えるので、便利ですよ)

●いろいろくふうして、オリジナルの紙芝居を作るのもすてきです!

 さあ、これであなたも、紙芝居のものしりはかせです。
 みるのもえんじるのも楽しい、紙芝居。
 ぜひ、図書館でお気に入りのものを、見つけてくださいね。


参考文献
『紙芝居百科』 紙芝居文化の会/企画制作 童心社
『新・紙芝居全科 ―小さな紙芝居の大きな世界―』 子どもの文化研究所
『メディアとしての紙芝居』 鈴木常勝/著 久山社
『紙芝居 街角のメディア』 山本武利/著 吉川弘文館



クレヨン



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